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「知的財産権制度はあなたのビジネスを守る」 ◆文:西郷義美(西郷国際特許事務所所長・元弁理士会副会長・国際活動部門総監)|

西郷義美 西郷国際特許事務所 (2)

社員20数名の機械部品の製造会社からの質問である。

「これまでわが社は大企業から部品の製造発注が結構あり、仕事も繁盛していました。ところがだんだん大手企業からの発注が少なくなり、最近ではほとんど注文がありません。よく調べますとその大企業は中国の製造メーカにわが社と同じ部品を造らせ、安い価格で輸入しているらしいのです」

何か打つてはないか、との質問である。

あるいはまた、別の中小企業は、

「ある日突然、親会社から、来月からの仕事はない。我々は中国に出て行く。日本での工場稼働は終わった」と告げられた。下請け会社は、一緒に行こうと思ったが、従業員は年配で、とてもじゃないが、できない。さあどうしよう。

更にまた、東南アジアの現地まで、親会社を追いかけていってみたところ、親会社からは、「なんだ?来たのか!」と、意外な返答。聞いてみると、現地調達ですすめるので、下請けの余地はない、とのこと。

 

何れの話も皆さんが良く耳にする話だろう。中小企業は受難の時である。しかし、これは今に始まったことでは無い。

 

ヨーロッパ町並み

一大決心をするときである。

「脱!下請け宣言」をするのである。今までの、腕と技術を生かし、スキマ産業に食い込むのである。スキマとかニッチとか、聞こえは悪いが、自分たちだけの居場所を作るしかない。日本では「ニッチ」という言葉には、せせこましい、ニュアンスがある。が、本来の意味は違う。「ニッチ」(niche)とは、居心地のいい最適場所をいう。ヨーロッパの町並みの、壁のへこみ、「壁龕(へきがん)」をいい、英雄や神々の桃源郷である。

 

また、動植物の最適生息環境を意味してもいる。生物は、生態的地位が似ていてさえ、別の生息環境には順応できず、そのため侵入せず、これにより棲み分けが成立する。言うなれば、その者だけの、男の城、飛行機のコックピット、の雰囲気である。

ご自分の「ニッチ」を獲得することにより、「脱!下請け宣言」が成就される。第三者に干渉されず、独立独歩、「唯我独存」が保証されることになる。だが、この実現は難しそうに感じる。しかし実は、そうではない。以下のようにすれば良い。特許制度、つまり、独占をよろこんで許す、唯一の独占権制度、別名、知的財産権制度、知財制度を使うのである。

しかし疑問がわく。中小企業にはかなり手に余るのでは無いか、と。

風景 (18)

いや、そうではない。できる!

今や、多くの大手企業さえ、知財戦争に明け暮れるほど、その重要性には十分気づいている。しかしである、その大手企業でさえも、十分には使いこなしていない。況んや、中小企業である。殆どの中小企業が、知財戦略を全くやっていないか、圧倒的に不十分である。

ところが、下請け企業とはいえ、中小企業の多くは独自の、ユニークな技術を持っている。しかし、もういちど言う。残念ながら特許制度にはうとい。

 

冒頭に述べた、中国に下請け仕事を取られた企業も、ユニークな技術を持っていたが、特許を1件も出していなかった。ましてや、中国等の海外への特許出願はなかった。更に、大企業との取引において、ノウハウの守秘契約なども一切交わしていなかった。そのため、ノウハウは既に大企業の手のうちに入ってしまっていた。これまで、付き合いが順調にみえたので、知財のことなどは考えたこともなかった。

砂時計

特許などの手当は、うまくいっているときがその時なのである。

残る手段は、挽回のために、知財戦略を一刻も早く経営戦略に取り入れることである。

今後もし、貴社が、知財の知識をちょっとつけ、その知財武器の威力を知れば、様子は一変する。その業界に君臨する大企業までさえも、足下におくことも可能となる。

そして、ニッチの規模を広げれば、貴社はたちまち大企業である。今のところは、そこまで行かなくとも、まずは「脱、下請け宣言」である。

その方策はこうである。次の3つの要件を実行することである。

 

まずは、自社の得意なこと、特殊技術を探し出す。特許があれば、なおいいが、今は無くともその得意技術を発展させ、いずれ特許を獲る。

 

次いで、その得意分野で、人助けができることを探し出す。例えば、簡便な、薬味用ネギ切り機を製造し立ち食いそば屋に販売し、人件費削減でよろこばれている例がある。アイデアが成功し、細々だが、成功した。あるいは、自社の電子技術を応用し、店舗出入り口における商品と人員の新規なチェックゲートをつくり、チャリンチャリンの継続収入を実現した御仁がいる。

 

最後に、発見したその分野のその商品は、どんな性能の物がいいか、他社との差別化は、などのため、特許公報や業界のカタログ、そして宣伝パンフなどに目を通す必要がある。この時が、相手技術を広く深く吸収するチャンスである。開発担当が当たるとよい。

 

そして、それは他人の知財権を侵害しないか、どのあたりが手薄か、などを発見するために、簡単なバブルチャート(技術と競合会社の分布グラフ)を作り万全を期す必要がある。

継続的努力が、必ずや実を結び、貴社の「脱、下請け宣言」は完成する。

 

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西郷義美 西郷国際特許事務所 (1)

西郷義美(さいごう・よしみ)…1969 年 大同大学工学部機械工学科卒業。1969 年-1975 年 Omark Japan Inc.(米国日本支社)。1975 年-1977 年 祐川国際特許事務所。1976 年 10 月 西郷国際特許事務所を創設、現在に至る。

《公職》

2008 年 04 月-2009 年 03 月 弁理士会副会長、(国際活動部門総監)

《資格》

1975 年 弁理士国家試験合格(登録第8005号)

2003 年 特定侵害訴訟代理試験合格、訴訟代理資格登録。

《著作》

『サービスマーク入門』。商標関連書籍。発明協会刊

「知財 IQ」をみがけ』。特許関連書籍。日刊工業新聞社刊

●西郷国際特許事務所

〒101-0052 東京都千代田区神田小川町2丁目8番地 西郷特許ビル

TEL : (03)3292-4411(代表)

FAX : (03)3292-4414
Eメール : saipat@da2.so-net.ne.jp
Eメール : saigohpat@saigoh.com

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